【携帯業界】周波数帯域とは?過去から見る5Gサービス動向

スマートフォン
スポンサーリンク
スポンサーリンク

 皆さんが毎日何気なく使用している携帯電話は複数の周波数帯(バンド)を使用して音声・データ通信を行っています。周波数帯は総務省から各通信事業者に割り当てられており、通信方式によって使い分けをしてきました。この記事では日本の携帯電話の周波数割り当ての歴史をさかのぼり、最新の通信規格である5Gのバンド割り当てに関するトピックについての理解を深めていきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

周波数帯(バンド)の基礎知識

概要

 周波数とは電波の波長のことで、波長の長さによって周波数帯(バンド)に分類され用途によって様々な無線通信に使い分けられています。周波数が小さいほど伝送できる情報量が少なくなりますが、回折性(電波が迂回する力)が強くなり障害物に対して強くなります。逆に周波数が大くなるほど伝送できる情報量は大きくなりますが、直進性(電波がまっすぐに進む力)が強くなり、障害物に弱くなります。
 携帯電話で使用されるのは極超短波(UHF:Ultra High Frequency)と呼ばれるテレビ放送などに使用されている300MHz~3GHzのバンドを使用しています。最近では高速・大容量データ通信を実現するためにより周波数の大きいマイクロ波(SHF:Super High Frequency)といった無線LANなどに使用される3GHz~30GHzのバンドも一部使用されています。
 近年の携帯電話は複数のバンドを受信できる「マルチバンド」に対応しており、端末の中で複数のバンドをハイブリッドに使用することで通信品質を向上させています。

周波数が小さい ⇒ 伝送量は小さいが障害物に強い
周波数が大きい ⇒ 伝送量は大きいが障害物に弱い
携帯電話には音声通信に適した極超短波(UHF)が使用されていたが、高速通信の実現のため、より周波数の高いマイクロ波(SHF)も使用されている。

周波数帯割り当ての仕組みとは

 周波数帯の使用は総務省により管理されており、効率的な使用が出来るよう免許を取得した事業者、もしくは公共業務に割り当てられます。例として2GHz帯を上げると1960MHz – 2200Mhz の帯域の一部が携帯電話事業に割り当てられ、1960 – 1980MHz と 2150 – 2170MHz の 40MHz幅はソフトバンクに割り当てというような形になっています。周波数の特性上、様々な帯域でより多くの帯域幅の割り当てを獲得できれば事業者の通信品質が向上しやすい(逆に帯域の割り当てが悪いといくら基地局を整備しても通信品質が上がりづらい)といえます。この割り当ては総務省の調査によって利用状況を評価され、各通信事業者の電波の有効利用に関する方針を加味して決定されます。2020年度の割り当て状況は下記となります。(5G基地局開設用に割り当てられた帯域は除く)

周波数割り当ての歴史

第一世代移動通信システム(1G)について

 現在の携帯電話に利用されている周波数帯の割り当ては電電公社(現:NTT)が自動車電話に使用していた800Mhz帯から始まっており、1986年~1994年頃までの800MHz帯のみを使用していた通信世代を1Gと呼びます。アナログの通信方式を採用しNTT・日本移動通信(IDO)・第二電電(DDI→現:KDDI)が割り当てを受けサービス提供していました。NTT・IDOがNTT大容量方式(HICAP)、DDIはTACSという異なる通信方式を採用していたため、IDOについては自社エリア外に関してはNTTグループの通信網へローミングする形で全国にサービス提供していました。

第二世代移動通信システム(2G)について

 1993年にはデジタル方式を採用した通信方式の登場で下り最大64Kbpsのデータ通信が可能になり、携帯電話でEメールやインターネットの閲覧が可能になりました。この世代を2Gと呼びます。

 1994年の携帯電話買取制度のスタートを皮切りに携帯電話が爆発的に普及し日本テレコム(現:ソフトバンク)とツーカー(現:KDDIに吸収)が携帯電話事業に参入しました。NTT・IDO・DDIは1Gで使用されていた800MHz帯に加え1.5GHz帯の割り当て、新規参入した日本テレコムとツーカーは1.5GHz帯の割り当てを受け展開を開始、通信方式はPDC(Personal Digital Cellular)という国内独自規格を採用していました。

第三世代移動通信システム(3G)について

 2Gまでの通信規格(HICAP・TACS・PDC)は日本独自の通信方式だった為、国内用の端末を海外で使用することはできませんでした。国際通信規格に準拠した通信規格へ移行する為に新たに登場したのがこの3Gです。

 2001年にはNTTドコモがW-CDMA方式を採用したFOMAの商用サービスを開始したことで下り最大3.6Mbpsの通信が可能になり、データ通信を利用したコンテンツが一気に拡大しました。翌年にはボーダフォンがW-CDMA方式・auがCDMA 1Xを使用した通信サービスを開始しました。

 3G開始と同時に2GHz帯が各事業者に割り当てられ、その後順次トラフィックのひっ迫と次世代通信への対応のため、あらたに700MHz / 900MHz / 1.7GHz の割り当てが加わりました。通信方式をさらに効率化させるで通信速度を向上させたHSPA(下り最大7.2Mbps)や、隣接する帯域を同時に使用することで帯域幅を増加させるDC-HSPA / LTE(下り最大40Mbps)等が登場し数年の間に携帯電話が行える通信速度が劇的に増加しています。

ソフトバンクのプラチナバンド獲得

 ホワイトプランの発表やiPhoneの発売・端末代金が実質無料となるスーパーボーナスなど、様々な画期的なサービスで契約者数を伸ばしていたソフトバンクですが「電波が入りづらい」という致命的な欠点を持っていました。2G開始時に参入したタイミングで800MHz帯の割り当てを受けておらず、その後の再編でもUHFにおいて電波が特につながりやすい周波数帯域(プラチナバンド)を獲得できていない事に起因していました。
 そのような状況が長く続いていましたが、2011年のアナログテレビ放送終了に伴いテレビ放送用に使用されていた700MHz帯と900MHZ帯の携帯電話向けに割り当てるという計画がありソフトバンクとイー・アクセスが名乗りを上げました。2社の割り当てに関しては競願時の審査でイー・アクセスが8点、ソフトバンクが9点と僅差でソフトバンクが勝利し、2012年に900MHz帯を獲得しました。
 その後基地局の整備や対応端末のラインナップを急ピッチで進め、3社の電波状況がほぼ同じになるに至っています。

第四世代移動通信システム(4G)について

  各社前述のDC-HSPAやLTEを4Gと称してサービス提供を行っていましたが、厳密には2010年10月に国際基準を満たしていると承認を受けたLTE-Advanced と WiMAX2のサービスが4Gということになっています。大手3キャリアでは2014年頃から開始されたキャリアアグリゲーション・8 × 8 MIMOのどちらか(もしくは両方)を使用したサービスが現在は4Gと呼ばれています。

 それまで3Gを進化させた3.9G等のサービスは、あくまで隣接する周波数帯を複数同時に使用し通信速度を向上させていましたが、キャリアアグリゲーションの登場により、全く異なる2つの電波を同時に受信する事が可能になりました。それまで10MHz幅程度でしか行えなかった通信が1単位20MHz幅となり、最大パフォーマンスで100MHzの帯域幅を使用する事が出来るようになりました。この技術を使用するには複数のバンドを事業者が有していることが前提になります。
 8 × 8 MIMO は複数のアンテナを使用し、同時に同じ周波数のデータを複数送信する技術です。8 × 8 というのはアンテナの本数で送信側・受信が環共に8本のアンテナで構成されている方式の事を指します。同時に送受信できるチャネルが増えれば増えるほど通信出来るデータ量が増加し、仮に1チャンネル10Mbpsの通信方式で8 × 8 MIMOを導入すれば80Mbpsの通信が理論上可能になるというわけです。

1G ⇒ 1986年~使用されていたアナログ通信
2G ⇒ 1994年~使用されていた最初のデジタル通信
3G ⇒ 2001年~使用されている国際規格の通信方式、この世代に各事業者の使用できるバンドが大きく増えLTEなどの高速通信サービスが登場した
4G ⇒ 2014年頃~使用されているキャリアアグリゲーションや8 × 8 MIMOを使用した高速通信サービス

5Gの周波数割り当てや問題点に関して

  5Gの基地局開設に伴い総務省は2019年4月に周波数割り当てに関して認定申請の受付を行いました。解放される枠は①3.7GHz・4.5GHz帯と②28GHz帯となり、①に関しては1枠100MHz幅で6枠、②に関しては400MHz幅で4枠となり、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの4社が申請を行いました。
 ①②各バンドで各社に1枠ずつは割り当てが行われますが、残る①の2枠に関してはNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの競願となり、審査基準で大きく得点を落としたソフトバンクが割り当てなしとなりました。

またソフトバンクと楽天モバイルに関しては割り当てに際して下記の追加条件が定められ、簡単にまとめると、「ソフトバンクは直近で大規模通信障害を起こしているから再発させないこと」「楽天モバイルは新規参入なので早期にインフラ整備を行い安定したサービス提供を行うこと」という内容です。

(ソフトバンクのみに付与される条件)
3 過去に発生した重大事故の再発防止策の徹底に努めるとともに、平成30年7月豪雨や平成30年北海道胆振東部地震等での被害による通信障害に鑑み、停電対策・輻輳対策や通信障害の発生防止等の電気通信設備に係る安全・信頼性の向上に努めること。

(楽天モバイルのみに付与される条件)
10 認定を受けた移動通信事業者は自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に従い、基地局の着実な開設
に努めること。
11 特定基地局の円滑かつ確実な整備のため、基地局の設置場所の確保及び工事業者との協力体制の構築に努めること。
12 電気通信事業の確実な運営のため、必要な社内体制の整備に努めること。特に、特定基地局その他電気通信設備の適切な
運用のため、無線従事者など必要な技術要員や基地局の開設に必要な人員の確保、配置に努めること。
13 競争に伴う経営環境の変化が生じた場合においても、設備投資及び安定的なサービス提供のために必要となる資金の確保
その他財務の健全性の確保に努めること。

5G割り当て周波数に関する動向

 今回の割り当てではマイクロ波の中でも特に周波数の大きいミリ波(28GHz帯)が追加されており各社に割り当てられています。周波数の特性上マイクロ波は遮蔽物に非常に弱く、ミリ波に至っては空気中の水蒸気などによる伝搬損失も大きくなります。その為、今回500MHz~600MHz幅と現状の割り当て幅すべてに対しても2倍以上と大きな割り当てがされ理論上の最大通信速度に関しては大きく向上しますが、カバーエリアの問題に加え局地的な弱電界(電波の弱まり)が非常に起こりやすく、基地局との間に遮蔽がない前提でないと電波がとどかないため好環境でもせいぜい窓際でしか使えないレベルなのではと言われています。
 5Gが広く使用されるレベルになるには基地局整備に加え、新しい通信技術の普及などが必要となるためまだまだ時間がかかるかもしれません。

まとめ

 周波数帯域の割り当てと通信技術の変革を過去からさかのぼることで5G等の最新の動向への理解が深まると思います。今後の通信業界動向を考える上でこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました