電気通信事業法とは?その沿革から直近の改正内容・事業者の対応等をまとめて解説!

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直近でも改正が繰り返されておりニュース等でも取り上げられる事も多い電気通信事業法ですが、実際にどういった内容の法律なのかご存じでしょうか?
 この記事では電気通信事業法の沿革を辿りながら、直近で施行された改正のポイントやガイドライン違反のケースを交えつつに通信事業者に対しどういった影響を与えているのかを解説していきます。

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電気通信事業法の概要

目的は?

 電気通信事業法の目的は電気通信の公共性を担保しつつ、電気通信の健全な発展と国民の利便の確保を図ることで公共の福祉を増進することです。実現の為に競争原理の導入による市場および技術発展・円滑な通信役務提供・利用者利益の保護といった3本の柱があり各目的に則した規律が適用されます。大項目で条文を分類すると下記となります。

(1) 全般的な規律 事業法第3条 検閲の禁⽌
事業法第4条 通信の秘密の保護
事業法第6条 利⽤の公平
事業法第8条 重要通信の確保
事業法第28条 業務の停⽌等の報告 
(2) 参⼊に関する規律 事業法第9条 電気通信事業の登録
事業法第16条第1項 電気通信事業の届出
事業法第177条 事業法第9条違反への罰則
事業法第185条 事業法第16条第1項違反への罰則 
(3) 登録・届出事項の変更や事業の休廃⽌等に関する規律 事業法第13条 変更登録等
事業法第16条
第2項及び第3項 届出事項の変更
事業法第17条 事業の承継
事業法第18条 事業の休廃⽌・法⼈の解散
施⾏規則第10条 電気通信役務等の変更報告 
(4) 消費者保護に関する規律 事業法第26条 提供条件の説明
事業法第26条の2 書⾯の交付
事業法第26条の3 書⾯による解除(初期契約解除)
事業法第26条の4 業務の休廃⽌の周知
事業法第27条 苦情等の処理
事業法第27条の2 電気通信事業者等の禁⽌⾏為
事業法第27条の4 媒介等業務受託者に対する指導 
(5) 電気通信設備に関する規律事業法第41条 電気通信設備の維持
事業法第42条 電気通信設備の⾃⼰確認
事業法第44条 電気通信設備の管理規定の策定
事業法第44条の3 電気通信設備統括管理者の選任
事業法第45条 電気通信主任技術者の選任 
(6)報告等に関する規律事業法第28条 業務の⼀部停⽌、通信の秘密の漏
えいその他の重⼤な事故の報告
事業法第29条 業務の改善命令
事業法第166条 報告及び検査 

発足からの流れ

 電気通信事業法施行以前は郵政省の外郭団体として発足した日本電信電話公社が国内通信業務を、特殊会社として設立した国際電信電話株式会社が国際通信業務を行うという2団体での一元運営が法律により守られており、そのような独占体制を廃止し民間企業の自由参入による電気通信事業の活性化を行う事を目的とした電気通信事業法が1985年に施行されました。それに伴いNTT民営化が行われ、日本テレコム(現:ソフトバンク)・第二電電(現:KDDI)・日本高速通信(現:KDDI)・電力系通信事業者等が新規参入した事で新しい技術やサービスと共に市場が拡大していきました。
 その後、外資規制の撤廃・禁止行為規制(力を持った特定の事業者の優先的扱いを禁止する規制)等による参入ハードルの緩和や、プライスキャップ制度(料金の上限のみを定める規制方式)等による料金規制の緩和、また認可制を届出制とする等、公正な競争が行われる事を目的としたルール整備が行われてきました。
 上記のようなルール整備により低廉な価格で幅広くインターネットと携帯電話が普及する中で2004年以降に説明義務や苦情処理といったキーワードで消費者保護ルールの整備が推進され始め、直近の改正法では消費者保護ルールに関連する内容が非常に多くなっています。
 また2019年には携帯電話事業において、更なる公平な競争を促すために契約内容や販売する端末の代金に対してより具体的なルールを設け、大手3社による行き過ぎた囲い込みを是正する改正もありました。

消費者保護ルールとは?

 電気通信サービスの規制緩和や事前規制(認可制)の撤廃に伴い多くの事業者が電気通信事業に参入したことで、事業者間の差別化を目的としたサービスの複雑化や販売代理店の増加に伴い手荒な販売手法が元となるとトラブルの増加が起こりました。それを受け消費者の苦情・相談への対応やトラブル防止の為2004年頃から消費者保護ルールの整備が進められ、2015年以降は大規模なルールの改正がおこなわれ事業者の取り組み状況をモニタリング調査するまでに至っています。
 消費者保護ルールの大まかな考え方は契約時における「説明義務」「契約書面の交付義務」といった義務付けと「不実告知(事実に反する案内)の禁止」「勧誘継続行為の禁止」といった禁止行為、契約後における「初期契約解除制度(それに付随する確認措置)」といった契約時の義務・禁止行為と契約後の措置に分かれます。
 届出媒介等受託者(販売代理店)がこれらに違反した場合は指導対象となり業務改善命令が総務大臣より発動し、継続して改善が見られない場合は業務停止命令が下ります。

説明義務についての内容と各事業者の対応

基本説明事項とは、変更契約や更新契約に当たらない新規契約の締結又はその媒
介等をしようとする場合に説明をしなければならない事項である。
なお、基本説明事項は、一部の項目を除き、書面交付義務による契約書面への記載
の対象ともなっている。

施行規則第 22 条の2の3第1項

 説明義務については契約締結前に消費者に対して説明をしなければいけない事項が決まっており、項目が1つでも漏れると説明義務違反となります。項目は下記となります。

(1)電気通信事業者の氏名又は名称(名称等)
(2)届出媒介等業務受託者の氏名又は名称
(3)電気通信事業者の連絡先
(4)届出媒介等業務受託者の連絡先
(5)電気通信役務の内容(名称・種類・品質・提供エリア・緊急通報に係る制限・フィルタリング・その他利用制限)
(6)通信料金
(7)その他の経費
(8)期間限定の割引の適用期間等の条件
(9)契約解除・契約変更の連絡先及び方法
(10)契約解除・契約変更の条件等
(11)初期契約解除に関する事項
(12)確認措置に関する事項
(13)通信契約の解約後の負担についての説明
(14)他業種との一体的な販売がされる時の説明事項の取扱い
(15)定型約款に関する情報提供

 これだけの条件が包括的に網羅されていなければルール違反とされます。「これらを記載した書面(説明書面)を交付し、これに基づき口頭で説明することが原則である」とされていますが、口頭説明が実施されたかに関しては確認をとることが難しく、各事業者は説明時に使用する重要事項説明書類・チェックリスト・申込書等にこれらの内容を盛り込み、利用者が(契約書とは異なる)契約前の確認書面にサインをすることで合意形成とする(もしくはチェックリストにチェックをさせる)等の対応がとられています。タブレット端末などを使用した電子署名にて契約を行う場合、一つのサインが複数の確認書類に同意したとみなされる場合もありますがその旨の合意を利用者と行った上でサインをもらうといった形で対応しています。
 ルール化前は説明を割愛してサインをもらうケースがグレーゾーンとして存在していたと考えられますが現在は、「(説明事項記載の書類を渡し)目を通していただいたらサインだけお願いします」といった案内や「チェックリストへのチェックを店員が入れる」等の行為はルール違反となり最悪の場合業務停止命令が下ります。また店員によるサインの代筆に関しては私文書偽造罪に該当する可能性があり刑法上の問題になる可能性があります。

 説明義務に関連する項目で適合性の原則という考え方があり、条文では「電気通信事業者等は、利用者の知識及び経験並びに契約締結の目的に照らして、利用者に理解されるために必要な方法及び程度で提供条件概要説明を行わなければならない」と明記されています。こちらは利用者ごとの属性に応じた適切と考えられる説明方法、販売方法をとる必要があるという意味合いで、ルール化されている項目は下記となります。

(1)利用者の利用実態等に応じた適切な対応
(2)利用者の属性等の的確な把握
(3)特に配慮が必要と考えられる利用者に対する説明
(4)知識・経験が十分として口頭説明の省略を望む利用者に対する説明


 これらにより説明時の方法として利用者ニーズを無視したプラン提案や内訳説明のない総額表示のみの説明がルール違反になる恐れがあります。また適合性の原則の特性から高齢者や日常生活にハンディキャップのある利用者を守る力が強くなっています。
 例として大容量プランやハイスペック端末を高齢者へ提案する・費用の内訳の説明を割愛し月額支払い料金総額で案内する等はルール違反となります。
 各販売代理店の対応として説明時に料金シミュレーションを行い、総額内訳を視覚的に利用者へ提示する・またその画面を印刷した物をお渡しする・高齢者の加入時はご家族の同意を必要とする等の対応がとられています。

契約書面の交付義務の内容と各事業者の対応

 電気通信事業者は、電気通信役務契約が成立したときは、遅滞なく、利用者に対し、その利用者の個別の契約内容を明らかにした書面(契約書面)を利用者に交付しなければならない。
 契約書面は、契約内容が事後的に利用者に分かるようにするという役割を果たすほか、初期契約解除制度が適用される場合は、契約書面の受領日等から起算して8日を経過する間まで初期契約解除が可能となるものであり、契約書面の交付が初期契約解除可能な期間を確定させる役割を担う。

 電気通信事業者は契約時の書面を利用者に交付する事が義務とされており、書面での交付もしくは利用者の同意が得られた場合のみ電子交付も可とされています。また初期契約解除の起算日として利用されるため交付がないという事は認められないといった内容です。書面について記載がルール化されている項目は下記となります。

(1)書面の内容を十分に読むべき旨
(2)基本説明事項
(3)契約を特定するに足りる事項
(4)料金支払の時期・方法に関する説明
(5)サービス提供開始の予定時期に関する説明
(6)付随有償継続役務の内容を明らかにするための次の事項※いわゆるオプションサービスに係る事項
(7)複雑な割引の仕組みについての図示
(8)初期契約解除制度に関する事項
(9)確認措置に関する事項
(10)経済上の利益の提供に関する事項※キャッシュバックや特典の詳細・時期・進呈条件等


 上記を網羅した内容を日本産業規格Z8305 に規定する8ポイント以上の大きさでわかりやすく記載する事が必要とされています。
 各事業者の対応として、書面交付は利用者へ必ず行い電子交付を行う場合はその旨の承諾を十分に得る為、契約時に書面交付方法を選択しない限り契約画面に進めないようにする等して対応しています。販売スタッフが自己判断で電子交付を選択する等の場合はルール違反となり、業務改善命令および業務停止の対象となります。

※初期契約解除に関しては別記事で詳しく解説しています。
https://maruwakarinet.com/syokikeiyakukaijyo/

囲い込み是正の措置とは?

 携帯電話の契約に際し通信サービスとセットで端末購入を行うというのは一般的な内容で、顧客囲い込みの為にソフトバンクが2006年に開始した新スーパーボーナス(月月割)という販売手法が広く携帯業界に浸透し、長い間大手3キャリアや追随する事業者で取り入れられてきました。新スーパーボーナスとは端末代金の分割支払いと同時に、契約を継続する事を条件に毎月一定額の割引を付与され、解約をした場合当月の請求分から割引が解除されるという販売形態です。
 顧客は端末代金の分割支払いが終了する2年間(実際の支払いサイトは2か月目~25ヵ月目)満了前に解約を行うと損失が出てしまう事から囲い込みの方法として非常に有効で、auではシンプルコース(毎月割)・ドコモではベーシックコース等の名称で広く認知されるようになっていました。
 こういった有効な囲い込みの施策が大手キャリアによって行われることでシェア寡占の状態が加速し、競争原理の導入を阻害するとして2007年頃からこういった契約ありきの端末値引きに関しては議論がなされて来ましたが一進一退の状況でした。

囲い込みの是正措置と各事業者の対応

 2019年の改正法によりこの10年以上に及び議論され続けていた問題にメスが入り、端末分離のルール化が行われるようになりました。具体的に禁止される内容は下記となります。

(1)特定の端末を購入した利用者に対し、そうでない利用者に提供していない通信料金の割引その他の利益を提供すること
(2)2年縛り等の拘束性の高い通信契約を結んだ利用者に限定して、端末価格の割引その他の利益を提供すること
(3)通信契約を結んだ利用者に対し、2万円を超える額の端末価格の割引その他の利益を提供すること


 上記により、キャリアが定める端末値引きの他に代理店独自のキャッシュバックや端末値引きも2万円以上は禁止行為(在庫端末等は除く)となり、2018年頃まで行われてきた一括0円販売等も一律で禁止されることとなりました。
 各事業者の対応として、法改正のルールの抜け穴をつく形で端末代金の分割支払回数を48回に引き上げ、25ヵ月目以降の機種変更を及びその際の端末返却を前提に残債を免除する(実質半額で利用が出来る)サービスが開始しました。利用期間中は値引きがないものですが2年後の契約継続が前提となっている体系の為是正が入り、現在は解約をした場合でも返金が出来るサービス(ドコモ・ソフトバンク)と、変則的に24回の分割支払金の1回目から23回目を安くし、契約を継続する事で24回目の割賦を免除する残価設定型(au)といった形のプラン体系になっています。
 解約時の返金方法に制限がある(ソフトバンクはPayPayボーナス)や契約の継続がないと返金が出来ない(au)等、ユーザー囲い込みに関してはまだ抜け道をついた形で継続していますが大手キャリアとしてはどういった形で今後対応していくのか気になるところです。

まとめ

 電気通信事業法の改正により通信業界を取り巻く環境は大きく変わり、消費者保護や自由競争の促進により利用者の利益となる面があるのは確かですが、値引きの大幅な減額や説明義務に応じる為のオペレーション過多によるショップ来店完全予約制・受付可能枠の減など、利用者・事業者共に不利益な実態があることも事実です。今後、電気通信事業法が電気通信の発展と、事業者・利用者共に利益をもたらしてくれる事を願います。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

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